「人を助けるとは?」|70歳の男性Yさんが語る後悔と勇気の物語No.39

高齢者インタビュー

東京郊外の小さな部屋で、Yさん(70歳)は静かに暮らしている。
独り身で、長い年月を地道に働いて積み上げてきたお金を頼りに、今は生活支援サービスを利用している。

「老人ホームという選択肢もあったんだけどね…仲間みたいな人間関係を作るのが、どうしても辛かったんだ」

そう語るYさん。
彼は人生の中で、友人を何度も裏切ってしまった経験がある。
その悔恨が、今もなお心の奥底でYさんを苦しめている。

私はお話を伺いながら、彼が決して冷たい人間ではなく、むしろ誰よりも真面目で思いやりのある方だと感じた。
けれども、その「真面目さ」ゆえに、人との関わり方がうまくいかなかったのだと気づかされた。
そこには、どこか自分自身と重なる部分も多く、心に刺さるものがあった。


会社員として歩んだ日々

Yさんは長年、ある会社で勤めてきた。
部下を育て、支え、誠実に働き続けることを何よりも大事にしていた。

だが50歳半ばを迎えたある日、彼の人生を大きく揺さぶる出来事が起きた。

それは、Yさんが目をかけていた優秀な部下の重大なミスだった。
会社の存続すら危うくしかねないほどの過ち。
誇り高いその部下は、誰にも相談できず、一人で苦しんでいた。

「お前、そんな顔してちゃダメだろ」
Yさんは声をかけ、涙ながらに事情を話す部下を必死に励ました。

「社長に自分の口から説明するんだ。それが一番の誠意だから」

そう助言した。
しかし部下はプライドと恐怖の狭間で揺れ動き、結局言い出せないまま体調を崩し、長期の欠勤に追い込まれてしまった。


自分がミスをかぶれば救われる

Yさんは悩み抜いた末、ある決断を下した。

「自分がそのミスをかぶれば、彼は救われる」

そう信じ、自らの過ちとして社長に報告したのだ。
そして責任をとる形で会社を去った。

「俺が身を引けば、彼はまた復帰できるはずだ。まだ若いんだ、未来を奪うわけにはいかない」

それは、上司としての最後の優しさであり、覚悟でもあった。


思いもよらぬ結末

しかし、現実は非情だった。
Yさんの行動を知った部下は、深い自責の念に駆られ、自ら命を絶ってしまったのだ。

「俺は…人を助けられる器じゃなかったんだ」

Yさんは、そう声を震わせて泣いた。
善意のつもりでとった行動が、最も望まぬ結果を招いてしまった。
その事実は今もなお、Yさんの心を縛り続けている。

「助けるつもりで…結局追い込んじまった。
俺は、人を救うなんてできる人間じゃなかった」

涙ながらに語るその言葉は、聞く者の胸を深くえぐる。


人を助けるとは何か

あなたは「人を助ける」とはどういうことだと思いますか?
相手のために身を削ることなのか。
それとも、あえて見守ることなのか。

Yさんは言う。

「今の時代、人間同士の言葉がぶつかり合うことは少なくなった。
でもな、それを必要とする人間も少なからずいるはずだ。

完璧に人を救えるなんて勘違いはしてはいけない。
でも、言葉をかける勇気だけは持っていてほしいんだ。人として…」

AIがどれだけ進歩しても、人間の心を完璧に理解することはできない。
同じように、完璧な人間など存在しない。
誰もが不完全で、迷い、悩みながら生きている。


善意と後悔の狭間で

Yさんの話を聞きながら、私は何度も自分に問いかけた。

――もし自分だったら、同じ選択をしただろうか?
――本当に人を救うことなんてできるのだろうか?

あなたならどう答えますか。
もしかしたら「自分には関係ない」と距離をとることが賢明な時もあるかもしれません。
けれど、困っている誰かに声をかける勇気を失ってしまったら、私たちは人間である意味を見失ってしまうのではないでしょうか。


若者へのメッセージ

Yさんは、最後にこう伝えてくれた。

「人間は失敗もするし、間違える。
人を救おうとして裏目に出ることだってある。
でも、逃げるな。
言葉をかける勇気は失わないでくれ」

あなたは今、誰かに声をかけたいと思っているのに、ためらっている相手はいませんか?
もしそうなら、ほんの一言でもいい。
「大丈夫か?」と伝えるだけで、相手の心は救われるかもしれません。


結びに

Yさんの物語は、華やかな成功談ではありません。
孤独の中で誠実に生き、深い後悔を抱えながらも、なお「人としてのあり方」を問い続ける物語です。

そこには「普通の人間の尊さ」が刻まれています。
そして読者であるあなたに、静かに問いかけてきます。

――人を助けるとは何か。
――誠実に生きるとはどういうことか。

Yさんの涙に宿る言葉は、きっとあなたの心にも響くはずです。


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時代屋こあら

こんにちは!「時代屋こあら」と申します。27歳で、大学を卒業してから転職を繰り返し今は9社目の職場にいます(笑)

私のこれまでの歩み

小学生の頃から大学までずっと野球してました!
大学卒業後は地元から東京に上京!
しましたが、、、父親が病で倒れたり、父が経営していた会社倒産したり、実家なくなったり( ;∀;)踏んだり蹴ったり!!
そんな人生歩んできても一生懸命生きてます!

このブログでは、実際に高齢者の方々にインタビューし、彼らの貴重な人生経験を共有することで、現代に活かせる知恵やヒントを探していきます。転職やキャリアに迷う若い世代の方々にも、過去の経験から学べることをお伝えしたいと思っています。
これからも、皆さんと一緒に時代のヒントを見つけていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします!

占いで前世コアラって言われたので「時代屋こあら」でやってます!

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